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アトピー性皮膚炎の外用薬とプロアクティブ療法⭐️

2020年11月8日

今年の6月より発売になったアトピー性皮膚炎の外用薬「コレクチム軟膏」をご存知ですか?

発売からすでに5ヶ月経過しているので、現在お使いの患者さまも多いと思います。
16歳以上に適応の外用薬です。
小児にはこれまでどおり、ステロイド外用薬とプロトピック外用薬での治療が主体です。
わたしのこども達もアトピー性皮膚炎で、小さい頃から保湿ケアとステロイド外用を続けてきました。
ですから、アトピー性皮膚炎の治療・スキンケアにも力を入れています



アトピー性皮膚炎の治療目標は、

「症状が認められない、あるいは症状があっても軽微であり、かつ日常生活に支障がない状態への導入(寛解導入)およびその長期維持(寛解の長期維持)」です。

 

治療にはステロイド外用薬用いられることが多いです。

ステロイド外用薬は抗炎症効果が高いですし、きちんと「適切な強さ」のものを「適切な部位」へ、「適切な量」で「適切な期間」外用していけばそれほど恐れることはありません

しかし、「ステロイドは怖い」「ステロイドは悪だ」というお考えをお持ちの方が少なからずいらっしゃり、外用自体を拒否されることもあります。

またステロイドを恐れるあまり、皮疹の赤みに比べかなり弱いランクのステロイドを塗り続けてなかなか治らない方もいます。

もちろん、不適切な強さや不必要な外用の仕方を続けると、皮膚萎縮や毛細血管拡張などが現れる可能性もあります。

しかし、皮疹をよく見てこまめな治療選択ができていれば恐れすぎる必要はありません

 

重要なのは、短い時間に一気に寛解状態に持っていくことが重要です

早期に疾患活動性を抑え、寛解に持ち込む。

1日の外用量、外用の頻度、外用のレベル(何をどこに塗るか)を細かく設定します。
これをタイトコントロールといいます。

これがきっちり管理できると完全寛解(お肌がスベスベでお薬のいらない状態)へ向かうことができます。

 

ステロイドは適切なランクの強さを使うことが必要です

強さが5段階あり、皮膚の厚みや吸収力の差に応じて、処方し分けています。

 

また、適切な量を塗ることが必要です

1FTU(フィンガー・チップ・ユニット)で必要量を勘案し、次回受診までに使い切って欲しい量を計算し処方しています。

たまに、全身に皮疹があるのに1ヶ月20gの軟膏チューブしか処方されていない例を見かけますが外用量が足りないと治りません。



また、重要なのはその塗り方です

よく患者さまから、「いままでステロイドを塗れば良くなるのですけど、やめるとまたかゆみや赤みが出てくるのです。どうしたらいいですか?」と聞かれます。

症状のあるときだけ外用し、見た目がきれいになったら塗るのをやめて、そしてまた悪くなったら塗るという方法ではなかなか症状が良くなっていきません。
これを「リアクティブ療法」といいます。

 

アトピー性皮膚炎の治療で重要なのは、
プロアクティブ療法」です

見た目きれいになったように見える皮膚表面も、実はその奥には見えない軽微な炎症が残っていることがあります。
これを知るには採血でTARCという値を見るとわかります。

TARCが正常範囲内に下がりきる前に外用をやめてしまうことで、バリア機能がまた低下し、かゆみが出てきて湿疹を繰り返してしまうのです。

ぬり薬できっちり皮膚炎を抑えた(寛解導入)後に、週に2回程度しばらく塗り藥を使用して皮膚を良い状態にキープする方法が、「プロアクティブ療法」です。

外用を減らすタイミング、外用薬の強さをランクダウンしていくタイミングは、お肌の状態を見極め、診察で指導させていただいています

 

アトピー性皮膚炎の治療は長期戦です

ステロイド外用も長期にわたるため、顔や首などの皮疹は、強い赤みをステロイドで抑制した後は、プロトピック軟膏でこれまでは維持していました。

 

プロトピック軟膏は分子量が大きいため、バリア機能の改善された皮膚へは過剰に吸収されません。

ただし、あとからカーッと焼けるようなヒリヒリ感が出やすいため、どうしても使えず脱落してしまう方が多かったのです

 

そこへプロトピックの発売から20年ぶりに登場した「コレクチム軟膏」です。

薬価はステロイドに比べ少し高いです。

保険3割負担で、

アンテベート軟膏5g = 約39円

プロトピック軟膏5g = 約167円

コレクチム軟膏5g = 約233円

新薬のため2週間処方しかできず、1日10gまで(1回5g、1日2回)の処方となります。

使用時の刺激感も起こりにくく、副作用が少ないとされています。16歳以上の方に適応です。

 

免疫活性化シグナル伝達に重要な役割を果たすヤヌスキナーゼ(JAK)の働きを阻害します。

 

前回お話しした「デュピクセント 」はIL-4/IL-13受容体に対する抗体した。

「コレクチム」はその受容体に結合する細胞内シグナル伝達分子JAKを抑制します。

主に炎症やバリア機能異常に関与するIL-4やIL-13の受容体のシグナルも抑制しますし、

かゆみを起こすIL-31の受容体のシグナルも抑制します。

 

現在、治療させていただいている患者さまへ処方している手応えとしては、約半数くらいの方に効果あり、残り半数の方はあまり効果がわからないといわれます。

効果としてはプロトピックと同じくらいかなという印象です

ただ、プロトピックほどほてらないので、顔・首の湿疹の治療選択肢としていいと考えています。

やはり強いステロイドほどの効果は出ないので体の赤みの強い湿疹には効果不足ですが、赤みの落ち着いている体の湿疹にも処方させていただいています

 

ステロイドによる副作用やプロトピックによるほてり感が出る患者さまに新しい治療選択肢が広がったことはとても嬉しいことですね

 

なにより、「ステロイドを使うことが不安で保湿剤以外はぬりたくない」といった患者さまにも外用治療を受け入れてもらえるようになったことは本当にありがたいことです