最近CMでよく見かける『ヒルマイルド〜』
キンプリの永瀬くんが宣伝していて気になりますね
「ヒルドイドとヒルマイルドは一緒ですか?」とたまに聞かれます。
有効成分は同じ「ヘパリン類似物質」です。
そもそも「ヘパリン類似物質」ってなに?
人の体内には「ヘパリン」という物質があり、血液が固まるのを防いでいます。
ヘパリン類似物質は、ヒアルロン酸やコンドロイチンと同じムコ多糖類の一種で、ヘパリンに似た化学構造を持つため、
ヘパリン「類似」物質と呼ばれています。
水を保持する親水性の部分が多いため、高い保湿力があることがわかっています。
また「ラメラ構造」という、お肌のうるおい構造を整える作用があり、肌のバリア機能の改善もしてくれます。
その他、血行促進、抗炎症作用なども認められています。
乾燥肌はかゆくなる
保湿力を失い乾燥した肌は、かゆみの神経線維が皮膚表層へ伸びてくることがわかっています。
角質層直下まで伸びてくると、わずかな刺激で痒みを感じてしまいます
かゆくなり掻きくずす → さらに乾燥する → かゆくなる → 掻きくずす
の悪循環です
保湿剤の種類
保湿剤は大きく分けて、「エモリエント」と「モイスチャライザー」に分かれます。
「エモリエント」は、
皮膚を覆うことで、皮膚表面からの水分の蒸発を防ぐ、いわゆる「ふた」の役割をするもの。
「モイスチャライザー」は、
天然保湿因子(NMF)などを含み、角質層に水分を与えるもの。
ヘパリン類似物質はモイスチャライザーの1つです。
ヒルドイド事件
3年ほど前に「ヒルドイド事件」なるものがありました。
美容目的でのヒルドイド処方が問題となり、処方制限がかかるのではないかというように社会問題となりました
医療費増加を考えると適正処方をしなければなりませんし、処方できる量には限界があります
市販品でもいいの?
ドラッグストアには、保湿剤がこんなにたくさん売られています
処方薬のヒルドイドは、ヘパリン類似物質が0.3%配合されています。
市販品にも処方薬と同じ量の配合が認められていて、そのため、市販品でも処方薬と同じ効果が期待できます
「ヒルマイルド」も、小林製薬の「さいき」、グラクソスミスクラインの「HPクリーム」、マツモトキヨシHDの「ヒルナメイド油性クリーム」も、ヘパリン類似物質は0.3%と同じ濃度です。
これらは【第2類医薬品】に分類されています。
先発品のヒルドイドと市販品やジェネリックが違うのは、ヘパリン類似物質の構造が少し違うということと、それらの基剤が少し違うということです。
有効成分のヘパリン類似物質の濃度は一緒ですが、基剤にグリセリンが入っているとモイスチャライザーとして働き、基剤にワセリンが入っているとエモリエントとして働きます。
厳密に言うとそれぞれの使用感や保湿力が少し違います。
しかし、保湿剤としての保湿力は十分にあります
ヒルドイドでなければいけないというわけではないので、毎日しっかり全身に保湿をしバリア機能を保つためには、市販品も上手に使うといいと思います
たまに患者さまから聞かれる質問です。
「いつまで保湿すればいいですか?」
→A「保湿は歯磨きと同じで365日必要です。毎日の習慣にしてください。」
「肌に何か塗るのが好きではないので、食事で何を食べたら肌が潤いますか?」
→A「カサカサのお肌を潤すには食べ物では無理です。自分自身のお肌に手をかけて(保湿剤を塗ってあげて)いたわりましょう。」
乾燥肌は保湿剤を塗らないと落ち着きません
クリニックで処方する保湿剤も、クリームや泡タイプなど、剤型により使用感や保湿力がそれぞれ異なります。
みなさまにしっかり塗ってもらえるように、クリニックでは、お肌の状態や生活スタイルを見極めながら保湿剤の種類選択をして処方しています