皮膚疾患でワクチン接種が有効な病気の1つに帯状疱疹があります
皮膚科には、帯状疱疹を発症して来院される方がけっこういらっしゃいます。
皮膚のジュクジュクは1〜2週間で治っていきますが、帯状疱疹に伴う痛みで夜も寝られない、痛みが辛くて動けないといった神経痛に苦しむ患者さまも多くいらっしゃいます
神経痛は冷えると特にうずくので、これからの時期つらいですよね。
痛みに対して複数の内服薬でコントロールしていきます💊
疼痛コントロールが難しい場合は、「神経ブロック」という治療が適していますので、ペインクリニックや麻酔科へ紹介させていただいています
帯状疱疹とは・・・
体の左右どちらかに帯状に水疱が出現し、ピリピリ、チクチクした神経痛を伴う病気です。
水ぼうそうにかかったことのある人には、水痘・帯状疱疹ウィルスが体内に長期間潜伏感染しており、
加齢やストレスを引き金として免疫力が低下すると、ウィルスが再活性化し発症します
ピリピリとした痛みから始まり、数日後に水ぶくれを伴う赤い発疹が体の片側に出てきます。
皮膚の症状は1週間〜2週間でかさぶたになり治っていきます。
発症時は、皮膚科で抗ウィルス薬内服や外用で治療します。
しかし皮膚症状が治った後も、50歳以上の約2割の方に、長い間痛みが残る『帯状疱疹後神経痛(PHN)』に
なる可能性があります
痛みの程度は人によって異なりますが、眠れないほど痛むこともあります
その他の合併症
髄膜炎、顔面神経麻痺、角膜炎、難聴、耳閉感などがあります。
「帯状疱疹」に対するワクチン💉
帯状疱疹の予防接種により、
発症を予防できる
発症しても軽症ですむ
帯状疱疹後神経痛を予防できる
といった効果が期待できます。
成人の水痘帯状疱疹ウィルス抗体保有率は90%以上と報告されていて、身体に潜伏感染していると考えられるため、ほとんどの人(80歳までにおよそ3人中1人に)が帯状疱疹発症のリスクがあります。
名古屋市では、2020年3月から、全国でも先駆けて「帯状疱疹」ワクチンの助成事業を開始しました
「名古屋市に在住」で、「50歳以上」の方は、通常の自己負担よりも少なく接種することができます。
さらに、市民税非課税世帯、生活保護世帯の方は自己負担金免除となります。
名古屋市の公費助成についてはこちら⬇️
https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000124418.html
名古屋市在住で、助成が受けられるとほぼ半額の金額で帯状疱疹ワクチンを接種でき、
帯状疱疹後神経痛などの発症リスクも減らせます。
50歳を過ぎたら帯状疱疹ワクチンの接種をおすすめします
「帯状疱疹」ワクチンの種類
帯状疱疹のワクチンには2種類があります。
これまで帯状疱疹予防のために接種されてきたワクチンは「水痘ワクチン」で、小児の水痘(水ぼうそう)発症予防のために用いられるものと同じワクチンでです。
生ワクチンでありウィルスを弱毒化したものなので、免疫抑制剤やステロイド内服中の方や妊婦さんには使用できません。
そして、2020年1月より新しいワクチン「シングリックス 」が接種できるようになりました
シングリックス は、帯状疱疹を予防するために独自に開発された世界初の組み換えサブユニットワクチンです。
ウィルス表面タンパクの一部を抗原とした組み換えワクチンで、生ワクチンではないため、免疫抑制状態の患者さまにも投与できます。
免疫抑制中であると、帯状疱疹が発症した場合、通常より長引いたり重症化するリスクもあるため、新しいワクチンが登場したことは嬉しいことですね。
わたしの外来にいらっしゃる腎移植後の患者さまもこのワクチンを接種されていました
水痘ワクチン「ビケン」
接種回数: 1回
接種方法:皮下注射
効果:帯状疱疹発症が、51.3%減少
免疫抑制患者への使用:不可
(抗がん剤、免疫抑制剤使用している方、ステロイド内服中の方)
妊婦への使用:不可
助成を受ける場合の自己負担金
(医療機関で支払う金額)
1回 4,200円 税込
補助のない任意接種の場合
1回 7,700円 税込 予定
シングリックス
接種回数:2ヶ月間隔で2回
(遅くても6ヶ月以内に)
対象年齢:50歳以上の成人
接種方法:筋肉内注射
効果:50歳以上で帯状疱疹発症が、
97.2%減少
免疫抑制患者への使用:可
助成を受ける場合の自己負担金
(医療機関で支払う金額)
1回 10,800円
(2回接種で21,600円) 税込
補助のない任意接種の場合
1回 22,000円
(2回接種で44,000円) 税込 予定