名古屋市緑区の皮膚科、美容皮膚科

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アトピー性皮膚炎💻WEBセミナー:長期寛解維持について

今日は日曜日でしたが、9:30〜11:40までアトピー性皮膚炎についてのWEBセミナーに参加しました




【長期寛解維持ができる時代を迎えて】というテーマのもと、ご高名な先生方のご講演を拝聴しました

アトピー性皮膚炎は慢性に経過する疾患ですが、適切にコントロールされた状態が維持されると、自然寛解も期待される疾患です

👇アトピー性皮膚炎の治療についてはこちら
https://asuka-hifuka.com/2020/11/07/アトピー性皮膚炎の注射薬「デュピクセント-」/

アトピー性皮膚炎治療の1つの目標は【寛解導入】です。

寛解とは
日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018に明記されていますが、
1)症状がない、あるいはあっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない
2)軽微ないし軽度で、日常生活に支障をきたすような急な悪化が起こらない
状態のことです


そしてもう1つの目標は、寛解導入後の【長期寛解維持】です。
上記の寛解の状態を長く維持するために、
塗り薬できっちり皮膚炎を抑えた寛解導入後にも、しばらく塗り薬を継続しながらゆっくり漸減していきます。
これをプロアクティブ療法といいます

ステロイドやプロトピック、コレクチム軟膏などを適切な強さのランクで、適切な外用量を説明し、次回診察時までに使い切ってきてもらうと、だいたいの患者さまの皮疹は軽快していきます。
しかし、かゆみが落ち着いてすぐに塗るのをやめてしまうとまたすぐに痒くなって・・・の繰り返しです、とおっしゃる患者さまも多いです。
皮膚表面がきれいになったように見えても、皮膚の奥の方ではまだ炎症が残っています


診察では、皆さんのお肌を一緒に触り、ザラザラしているところを確認しています
赤くなくてもザラザラしているところはまだ湿疹のある皮膚です。
見ても触ってもゼロを目指して、外用を続けていただきます

皮疹だけでは、厳密にコントロールできない場合、血液検査にて TARCを測定します💉
この数値を見ながら減量のタイミングを図っていくことができます。
これをTight control(タイトコントロール)といいます

本日のWEBセミナーでも、このタイトコントロールの重要性について学びました
さらに、これまでの外用療法では寛解維持もプロアクティブもできなかった難治例の患者さまも、
今や、デュピクセント にて、寛解導入も、長期寛解維持も目指せる時代になっています


👇アトピー性皮膚炎外用法のコツについてはこちら
https://asuka-hifuka.com/2021/06/23/アトピー性皮膚炎✨外用のしかた✨と✨市民公開/

👇プロアクティブ療法についてはこちら
https://asuka-hifuka.com/2020/11/08/アトピー性皮膚炎の外用薬とプロアクティブ療法/


また、湿疹のある部分だけ塗っていても改善しません
全身に湿疹を繰り返す患者さまでは、赤くみえる部分以外の、非病変部の皮膚にも炎症細胞が増えていて、炎症に関する信号(サイトカイン)も発現が亢進しています。
要するに、湿疹のある部分だけではなく、全身に外用薬をしばらく塗り続ける必要があるのです




しかし、外用療法で寛解に至る方もいらっしゃいますが、外用だけではほとんど改善せず、全身の赤み(紅皮症)状態の方もいらっしゃいます。
また、どうしてもステロイドは塗りたくないというステロイド忌避で長期経過し、悪化してしまっている方もお見えになります。

その場合は、アトピー性皮膚炎における全ての治療法をお示しし、デュピクセント を導入しています。
ただし、ご本人が希望されても、皮疹スコアが基準に達しない場合は導入しません。

デュピクセント は、今ままでの治療に抵抗性であったアトピー性皮膚炎の患者さまの皮疹にもよく反応します。
皮膚が変わると、気持ちが前向きになり、生活の質が変わります
これまで全身療法としてシクロスポリン内服を導入しても、腎機能障害や高血圧で継続できなかった患者さまにも投与できる、画期的な注射薬として2018年4月に登場しました。



当院でも10人程度の方がデュピクセント の治療をしており、すでに寛解導入に至った患者さまもいらっしゃいます。
血液検査でのTARCも順調に皆さま減少しています。
デュピクセント は、初回投与後、自己注射指導ののち、2週間ごとに自宅にて自己注射を繰り返します。

長期寛解導入後にデュピクセント をずっと打ち続けないといけないのか?という疑問もありますよね。

皮疹がきれいになってすぐにやめてしまうとフレア(再燃)が起きてしまいます。
本日のWEBセミナーでも、やはり、しばらく2週間ごとの自己注射が望ましく、ある程度の期間が経過した後に、使用法を工夫していくことができるということでした。

アトピー性皮膚炎の治療法は目まぐるしく変化してきており、さらに新しくJAK阻害薬などの内服薬も登場してきています。
オルミエントに加えて、リンヴォックがつい先日、12歳以上のアトピー性皮膚炎に適応となりましたが、これらの内服は注意事項も多く、CTや血液検査などで感染症の除外もしなければなりません。
今後の動向を慎重に見極めています。

本日は、日々の診療の中で抱える疑問や診療のコツについて学ぶことができ有意義なセミナーでした。
また明日からの診療に活かしていきたいと思います