

座長は、ちあき先生
第1土曜日に、あすくりでも勤務してくださっています✨

講演前は、リラックス🎵

夜19時からのWEB配信でした。
平日午後の診療後にも関わらず、多くの先生方がご視聴くださったそうです。


まず、当院でのアトピー性皮膚炎治療をどのように行なっているかご紹介しました。

私たち、皮膚科医が診断診療の指針とする治療アルゴリズムというものがあります。

2021年版から2024年版にかけて変わらないところは、赤枠の、
軽症でも重症でもまずは外用療法で、寛解導入を目指す、というところ。
そして、外用療法で寛解導入に至らなかったとしても、すぐに生物学的製剤やJAK阻害薬導入をするのではなく、
もう一度、その外用療法が適切であったか見直すことも大事です💡


それでも、外用だけでは改善しない中等症・重症アトピー性皮膚炎の患者様には、
デュピクセントを含めた生物学的製剤やJAK阻害薬を選択していくこととなります。

重症度や注射間隔、年齢、コスト、合併症で薬剤を選択していきます。

その一つとして、デュピセントがあり、当院では、累積約100人弱の患者様に使用経験があります。

デュピクセントは2型炎症の中心となるIL4とI L13の両方を阻害する注射剤です。
2023年9月より小児適応追加となり。6ヶ月の乳幼児から適応があります。
そして、つい最近、2025年11月17日に、小児用の200mgにペン型の製剤が登場しました✨

院内で注射する小児に対して、針が見えない設計の薬剤に変わったことはとても大きなメリットだと思います。

こうした生物学的製剤を患者様に説明したり、運用していくための工夫として、
当院では、パスを活用したり、スタッフ連携により、システム構築をしています💡

デュピクセントは4年前に比べて、導入できる施設がかなり増えましたが、
まだまだ、他院ではデュピクセントをやっていないからこちらで注射できないか?というお問い合わせも多く聞きます。
当院での運用の工夫を、他のクリニックの先生方にお伝えすることで、
一人でも多くの患者さまに、必要な治療が行き渡りますように✨というのが私の願いです☺️

また、こうした注射剤を、ただ打っているだけではいけません。
高額療養費制度などはありますが、自己負担額の高い治療ですので、できるだけ早く、できるだけきれいに改善し、なるべくなら寛解終了を目指していきたい。
そのために、この治療が効果を出せているのか、きちんと評価する必要があります。

当院では、患者アウトカムのうち、上記の☆印について、定期的に計測して評価して、
継続するべきか、他剤に切り替えるべきか、検討しています。

また、こうした治療は、医師一人では行えません。
看護師から病気の説明や、自己注射指導や、事務からも費用についての説明など、スタッフと効率的に連携を取る必要があります。

当院で、どこまで医師が説明して、どこからスタッフに委ねるのか、
スタッフがどの様に説明しているのか、オリジナル資材などのご紹介もしました。

また、当院での自験例を通して、デュピクセントや他剤の治療成績などについてもご紹介しました。


結論として、
デュピクセントは寛解導入だけではなく、寛解維持、および長期寛解維持に有用な薬剤です。

ただ、よくなってくると自己判断で中止してしまう方もいらっしゃいますが、どの段階になったら終了できるのか、どの状態を目指せばいいのか、医師が明確にその寛解の基準を持っておき、患者さまに伝えておく必要があります。
私の考える寛解の基準についてもお話しさせていただきました。
そしてそのために、細かくアウトカムを計測し定期的に見直し、改善が乏しい時は適切な薬剤へスイッチも考慮するべきであると考えます。

講演後の、Q &Aセッションでは、いくつかのご質問をいただき、
1)デュピクセントの適応像は?
2)顔面紅斑に対する対処法は?
3)小児への説明で気をつけていることは?
4)コンプライアンス不良の場合はどうしているか?

私見を述べさせていただきました。
WEBなのに、考えながら身振り手振りしてますね👀
座長をお務めくださった千晶先生と
200mgペンと

ご視聴くださった先生方、ありがとうございました🧡
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デュピクセントについて

2018年にデュピクセントが登場して以来、重症アトピー性皮膚炎の治療が劇的に変化しました
さらに2023年9月から、生後6ヶ月以上の小児患者さまにも適応が拡大されています
当院でも、中等症・重症アトピー性皮膚炎の治療にデュピクセントを使用し、多くの患者さまの皮疹が改善しています。
その効果も安全性も高く、良い薬剤であると実感しています.

アトピー性皮膚炎を引き起こす主役は、Th2というリンパ球です。
このTh2リンパ球から分泌されるIL-4、IL-13、IL-5、IL-31などのサイトカイン(免疫細胞から分泌され細胞間の情報伝達を担うタンパク質)が皮膚のバリア機能の低下や炎症の促進を引き起こし、アトピー性皮膚炎の病態を作っていると言われています。
デュピクセント とは

炎症を引き起こす物質「IL-4」と「IL-13」によるシグナル伝達を阻害してType2炎症反応を抑制する生物学的製剤です。

ただし、誰でも投与可能というわけではありません。
既存の治療で効果が不十分であり、
EASIスコアという皮疹のスコアが一定数値以上の中等症・重症の方にのみ適応です。
また、外用治療も必ず継続していただきます。
成人では、
投与開始4ヶ月後に
約80%の方が皮疹の5割改善、
約70%の方が皮疹の7割改善、
約40%の方が皮疹の9割改善しているといわれています。

これまで、どんなに外用治療を頑張っても変化のなかった皮疹や痒みが、こんなにも改善するというのはすごいことです。
あすくりでデュピクセント投与中の患者さまも、長期に経過してきています。
しかし、16週では皮疹の改善が半分くらい(EASI50)だったとしても、
1年くらい注射を頑張って継続されていくと、もっともっと皮疹が改善していくということが分かってきました
IL-4、IL-13を阻害するデュピクセントは、Type2炎症をしっかり抑え込み、長期寛解維持にとても有用な薬剤です。
皮疹が改善することで、QOL(生活の質)が向上します。
長年、かゆみ・赤みに悩んでいらっしゃた皆さまに笑顔と希望が届けられる治療だと日々感じております
難治性の重症アトピー性皮膚炎にお悩みの方はぜひご相談くださいね