まず初めにスタッフ全員で薬の勉強会。
今回は、今年の秋に発売となる、特発性慢性じんましんの新薬「ラプシド」について✏️


あちこち体が痒くて、蚊に刺されたような膨らみのできる、じんましん

【じんましん】とは?

皮膚の一部が突然腫れあがり、しばらくすると消えてなくなる症状です。
大抵の場合、1日以内に改善します。
症状の場所が数時間から半日後には別の場所に移っており、元の場所は何事もなかったように跡を残さず消えてしまうことが特徴です。
蕁麻疹の7割は原因が特定できない特発性といわれています。
体内では、血液中のIgEと呼ばれる物質などが、皮膚にある肥満細胞(マスト細胞)を活性化し、炎症を起こす化学物質(ヒスタミンなど)が放出されることで蕁麻疹が起こります。

特発性慢性じんましん とは?
じんましんとは、蚊に刺されたような膨らみ(膨疹)が突然現れ、時間が経つと消えてしまう病気です。
これが6週間以上続くものを「慢性じんましん」と呼び、
さらにその原因が明らかではないものを。「特発性慢性じんましん」と呼びます。
持続するかゆみは、生活の質(QOL)を著しく低下させます
治療方法
① 抗ヒスタミン薬内服→倍量内服または2剤併用
② 抗ロイコトリエン薬内服
③ H2受容体拮抗薬内服
上記の治療方法でも効果が得られない場合、
ゾレアや、デュピクセントの注射をお勧めしています
ここへ、今年の秋に、新薬が登場します💡
内服薬の「ラプシド」という、BTK阻害薬(ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬)です。

ラプシドは1日2回の内服薬です。
1.スイッチ役の酵素(BTK)をブロック
アレルギー反応を起こす「肥満細胞」の内部には、指令を伝えるためのBTKというスイッチ役の酵素があります。
ラプシドはこのBTKの働きを直接ブロックします。
2.ヒスタミンが出るのを防ぐ
通常、アレルギーの刺激が加わるとBTKのスイッチが入り、細胞の中から「ヒスタミン」という物質が放出されます。
これが痒みや腫れの大きな原因です。
ラプシドがBTKのスイッチを止めておくことで、ヒスタミンなどの炎症物質の放出を防ぐことができます。

すでに出てしまったヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬内服と異なり、
ラプシドは、「ヒスタミンが細胞の外に出るのを細胞の中で止める」という新しいアプローチのお薬です。

実は、今年、じんましん治療における診療ガイドラインの改訂がありました💡
2026年に日本皮膚科学会から公開された**「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」**では、慢性じんましん(慢性特発性蕁麻疹:CSU)の診療が大きくアップデートされました。

その大きな特徴は、治療目標が「段階的」に明確化されたことです。
従来は「症状を完全になくす」ことが目標でしたが、
2026年版では
第一段階:日常生活に支障がない状態
↓
第二段階:症状が完全に消失
↓
第三段階:治療薬を減量・中止しても再発しない状態(寛解)
という3段階の目標が示されました。
また、治療アルゴリズムについては、
Step1:第二世代抗ヒスタミン薬
↓
Step2:十分量まで増量
↓
Step3:生物学的製剤
という流れです。
抗アレルギー薬倍量内服、でも改善しない場合、STEP3の生物学的製剤で治療していきます。
ゾレアについて

特発性の慢性蕁麻疹に対する注射薬です。
抗IgE抗体の生物学的製剤です。
特発性の慢性蕁麻疹を起こす元の一つと考えられているIgEをおさます。
あすくりでも、多くの特発性慢性じんましんの患者さまに、ゾレア注射を導入しています
しかし、ゾレアに抵抗性を示し、十分な効果が得られない患者さまもいらっしゃいます
特発性慢性じんましん(CSU)の発症機序が一つの要因だけではないため、IgEそのものを抑え込むだけでは効果が不十分な場合があるのです。

じんましんでは、ヒスタミンを放出する肥満細胞の活性化が関係していると考えられていますが、
肥満細胞は、ヒスタミンだけではなく、IL-4、IL-13、IL-31という炎症性サイトカインも産生しています。
これらのサイトカインによって生じる炎症が2型炎症で、肥満細胞を活性化させたり、痒みや膨疹を引き起こしたりします。
デュピクセントは、
IL-4Rα阻害により、IL-4とIL-13のシグナル伝達を阻害する治療薬です。

特発性慢性じんましんへのデュピクセントの適応
①既存治療で効果不十分な方
②12歳以上
これらの薬剤による治療に、ラプシドが追加となります✨✨✨
。
診療ガイドラインにおいて、
QOL改善が重視されています。
評価項目として
- 睡眠
- 労働生産性
- 学業
- 精神的負担
などを診療時に確認し、症状だけでなく生活への影響も治療目標に含めることが強調されています。
じんましんが出ていても、まあ仕方ないか、前からポツポツ出てくるのに慣れてしまったし、痒くて気になるけどこんなものかな、と完全に無くならなくてもいいかと妥協してしまったり、諦めてしまうケースがあります。
じんましんを完全消失させて、QOLを改善させていくためには、しっかりとした治療戦略が大事です💡
3剤の違いを簡単に示すと以下の通りです。

ゾレアやデュピクセントが必要だけれども、注射が怖いという患者さまには、
新しい内服薬の「ラプシド」は治療を受けやすくなるかもしれませんね。
3剤をうまく使い分けることにより、なかなかじんましんが治らないでいる特発性慢性じんましん患者さまの、アンメットニーズを満たしていくことができると期待されます。
また、ラプシドが発売開始となりましたら、お知らせしますね☺️