保湿剤のヒルドイドのセミナーがあり、参加してきました✏️


毎日、多くの方々に処方しているヒルドイドですが、その主成分はヘパリン類似物質といいます。
「ヘパリン類似物質」とは?
人の体内には「ヘパリン」という物質があり、血液が固まるのを防いでいます。
ヘパリン類似物質は、コンドロイチンというムコ多糖類の一種でヘパリンに似た化学構造を持つため、ヘパリン「類似」物質と呼ばれています。
水を保持する親水性の部分が多いため、高い保湿力があることがわかっています。
その他、血行促進、抗炎症作用なども認められています。

ヒルドイドにはいろいろな剤形があり、
先発品は、
ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドクリーム、ヒルドイドローション、ヒルドイドフォームの4種類

処方薬のヒルドイドは、ヘパリン類似物質が配合されています。
その「ヘパリン類似物質」でみると、ジェネリックもあれば、市販品もあります。



ドラッグストアには、保湿剤がこんなにたくさん売られています![]()
処方薬のヒルドイドは、ヘパリン類似物質が0.3%配合されています。
市販品もヘパリン類似物質は0.3%と同じ濃度です。
これらは【第2類医薬品】に分類されています。
先発品のヒルドイドと、市販品や、ジェネリックが違うのは、
① ヘパリン類似物質の構造が少し違うということと、
② それらの基剤が少し違うということです
塗り薬は、主成分と、それらが溶けている基剤と、添加物からなります。
塗り薬の成分は、ワセリンなどの基剤がほとんどを占めています。
基剤には、皮膚の被覆(保護)作用や柔軟作用などがあり、基剤によって、主成分の皮膚への浸透度の調整や、使用感の向上など、さまざまな工夫を加えることができます。
患者さんの症状に適した基剤を選ぶことが大事です。
また、製剤によって、油中水型、水中油型というように、成分の組成が異なります。
それによって質感が全く異なります

本来、水と油は相容れないものです。
それらを均一に混ぜる「乳化」をしっかり行い、分離しないように長期安定性が保たれています。
今回のセミナーで、先発品であるヒルドイドの品質保持と安定供給のこだわりについて知ることができました☺️

また、手湿疹の患者さまのハンドクリームとして、ヒルドイドクリームを処方することが多いのですが、ヒルドイドクリームのいいところは、被膜形成能があるというところ。

これはヒルドイドソフト軟膏にも、そのジェネリックのビーソフテンクリームにもない能力です
その主成分はどれも一緒なのですが、ヒルドイドクリームだけに含まれる添加物のステアリン酸、セトステアリルアルコールなどが関係しているといわれています。

被膜が形成されることで、衣服にもつきにくくなり、体に密着されるため長時間その保湿作用が続きます。
以下の図は、赤い線がヒルドイドクリーム
皮膜形成能が高いヒルドイドクリームは、角質水分量が維持されやすいということが示されています。

ヒルドイドクリームは、ベトつきが少ないので、ハンドクリームに最適です

また、2025年に発売となったヒルドイドローションのポンプタイプですが、フタを毎回閉めなくても簡単にローションを出せるようにしたい、1プッシュで一定量出るようにして欲しい、という1つのニーズから開発に至ったそうです。
ただそれまでの容器からポンプに詰め替えただけではなく、ポンプ部分に薬剤が析出しないように、ポンプ発売時に改めてローションの基剤変更したのだそうです。
こうした企業努力で、より良い製剤が日々作られているのだということを知りました。
ヒルドイドについて多くのことを学ぶことができました🤩
📸一緒に参加した千晶先生と

📸新潟のわか皮ふ科クリニックの、わか先生にもお会いすることができました。

マルホさんのホームページに、WEB工場見学のサイトがあります。
製品製造へのこだわり、徹底した品質管理の様子などを身近に知ることができて楽しいですよ🎵
ぜひご覧になってください👀
https://www.maruho.co.jp/kanja/kodawari/factory_tour/#!/tours/factory?as=guest

<公開にあたって>原文そのまま
医療用医薬品の塗り薬における品質や安定供給に関する情報ニーズや製品改良につながるアイデアは、医療関係者(医師・薬剤師)や塗り薬を使用している患者さんからもいただいています。
これまでそのような情報がどのように製造現場で生かされているのかをお伝えすることができていませんでした。
なぜなら塗り薬を含む医薬品は、外部からの汚染や異物混入を防ぐなどの厳重な環境下で製造しているため、外部の方が工場見学などで製造施設内を訪れることは困難だからです。
そこで、製造する塗り薬の品質や安定供給に対する「マルホのこだわり」を皆さんに知っていただくため、Webサイトで工場内をご紹介いたします。