名古屋市緑区の皮膚科、美容皮膚科

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アトピー性皮膚炎💻ドクター向けWEB講演会をしました🎤

木曜日は休診日でしたが、WEB講演会のご依頼をいただきましたので、アトピー性皮膚炎の治療薬「デュピクセント」についてお話しさせていただきました。
今回は、県内のドクター向けのWEB講演会でした💻



ご一緒させていただいた先生方と📷



左から
あんどう皮フ科の安藤先生: 愛知県皮膚科医会の会長先生
自治医科大学皮膚科・准教授の神谷先生
わたし

ご高名な先生方とご一緒できて光栄です✨




デュピクセントは、中等症以上のアトピー性皮膚炎の症状を劇的に改善しうる素晴らしい薬剤です✨
あすくりでも、たくさんの患者さまに投与させていただいております💉
しかしまだ、デュピクセントを導入できていないクリニックさまもいらっしゃるとお聞きし、当院の治療の流れをご提示することで何かお役に立てればと思いお引き受けさせていただきました😊



WEB配信なので、画面を見ながらお話ししました。

 









アトピー性皮膚炎は、わたし達が診療の拠り所とするガイドラインにて、
「増悪と軽快を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患」
と定義されています。

アトピー性皮膚炎の病態は解明されてきています。


アトピー性皮膚炎の患者さまの一部10〜20%くらいにフィラグリン遺伝子変異があり、バリア機能障害により乾燥肌が進みます。

バリア機能障害があると、皮膚表面の細菌やホコリや汗など異物が皮膚内に侵入しやすく、免疫細胞が異物に対して反応し、TARCという信号(ケモカイン)を分泌し、Type2炎症が進んでいきます。


また、Th2細胞が産生するIL-4、IL-13という信号(サイトカイン)が、後天的に表皮角化細胞のフィラグリン発現を低下させ、後天的に更にバリア機能障害を起こし、乾燥肌が進みます。

また、Th2細胞が産生するIL-4、IL-13、IL-31 などは、かゆみの神経に影響し、かゆみを引き起こします。
抗アレルギー薬を内服しても抑えられないかゆみはこの、IL-4、IL-13、IL-31などが関与していると考えられています💡

その他、アトピー性皮膚炎の病態において、いろいろな細胞がいろいろな信号(サイトカイン・ケモカイン)を出していて、それがどのように影響しているのか解明されてきています💡💡💡

何かよくわからないけどずっとかゆい病気、ではないのです。

診察では、もう少し簡単に、アトピー性皮膚炎の病態についてご説明しています。





💎アトピー性皮膚炎の治療については、昨年、みどり区民健康講座でもお話しさせていただきました。
外用療法の重要性を区民の皆さまにお伝えしましたが、こちらについては過去のブログもご覧くださいね😊
👇
https://asuka-hifuka.com/2022/11/17/区民健康講座🎤その①-アトピー性皮膚炎⭐%EF%B8%8F/




「夜、ぐっすり寝ること」
「勉強や仕事に集中すること」
当たり前のことを当たり前にできるように、日常生活に支障のない状態を、
寛解といいます。


寛解導入のための、治療は、軽症と、中等症以上では異なります。


軽症の方の治療はやはり外用療法が基本です。
しかし、外用剤は、その塗り方、使い方が重要で、塗れば効く!というものではありません‼️
アトピー性皮膚炎の治療で大事なのは、その外用剤の強さ・量・方法・期間です。

ステロイドは正しい使い方をすれば、副作用を回避できて効果の高い外用剤です。

皮疹が重症な時は、やはりステロイドで押さえ込み、皮疹の改善とともに、ランクをダウンし、
コレクチム軟膏、プロトピック、モイゼルトなどでプロアクティブをしていくのが、外用療法の基本です。





また、塗り方も大事なので、診察では、実際に皆さまのお肌を触らせていただきながら、どの範囲まで外用すればいいか一緒に確かめていただいております。





 

通常はこれで落ち着いていくのですが、
外用療法をしっかり行っても、改善の乏しい中等症・重症の方には、
2018年にデュピクセント という注射剤が、
2020年以降、JAK阻害剤内服という内服剤が登場してきており、
それにより、皮疹の改善、中には皮疹ゼロを目指せる時代となりました✨✨✨







アトピー性皮膚炎の病態には、いくつかのサイトカイン(信号)が関与しています。
そのうちのIL-4(インターロイキン4)とIL-13を阻害するのがデュピクセントです。








デュピクセントを導入できるのは、EASIスコアが全身で16点以上、頭頸部で2.4点以上の中等症以上の方です。
紅斑(赤み)、丘疹(ブツブツ)、掻破痕(かき傷)、苔癬化(ゴワゴワ)で、このEASIスコアをつけています。



ここで、クロノス試験というものがあります。



デュピクセントを投与して16週後(4ヶ月後)に、
一番左のベースラインの皮疹が50%減る方が、約80%います。
皮疹が75%減る方が、約70%います。
皮疹が90%減ってほとんときれいな状態へ持ち込める方が約40%もいるんです❗️

それまで何をしても改善しなかった皮疹がここまできれいになるのです。
凄いことですよね❗️

当院の治療においても、統計を出しましたが、ほぼ、このデータと同じような結果となりました。

そしてさらに長期で継続することでこの成績がさらに改善しましたので、そのデータを講演の中で提示させていただきました😊


当院では、患者さんの治療成績をなんとなく良くなっているね、ではなく、しっかり数値化して管理しています。

その一つが、上記のEASIスコア

そして、血液検査で測るTARCというものです。




また、デュピクセントやJAK阻害薬内服している患者さまには、待ち時間に、
POEMカードというかゆみのスコア、
ADCTカードという長期間いい状態を維持できているかのスコアをつけてもらっています。



短い診察時間で、患者さまのニーズを漏らさないようにできるいい指標です。

これらを、まだデュピクセントを導入できていないクリニックさまが導入しやすくなるように、
どのように説明をし、どのように予約管理をし、どのような頻度で採血やスコアリングなどのデータを計測しているのか、
スタッフ間の連携など当院の運用システムをお伝えしました。



また、デュピクセントは自己負担額の高い薬剤ですので、
いかに患者さまの費用負担の減額ができるか、どのように考えていくのかもお示ししました。
付加給付制度がある方にはまずそのご説明を、
ない方には高額療養費制度を利用するために自己注射指導をし、まとめ処方をすると自己負担額がかなり抑えられます。

患者さまごとにシミュレーションをしていますので、診察でお聞きくださいね。



デュピクセント治療により、辛かった痒みやゴワゴワやジュクジュクしていた皮疹が改善していく患者さまがほとんどです。





当院の患者さまのお声です。



お肌がきれいになり、自信がもて、人の目が怖くなくなり、行動が変わり、人生が変わる患者さまがたくさんいらっしゃいます。
初診時にはかゆい、辛いと泣かれる患者さまもいらっしゃいました。
そんな患者さまが笑顔になられていくのを拝見できるだけで、こんなに嬉しいことはありません。



また、当院では、以下のJAK阻害薬の処方も可能です。
デュピクセントからJAK阻害薬へ切り替えた症例もあります。




デュピクセントで治療するのがいいのか、JAK阻害薬で治療するのがいいのか、患者さまごとに検討するポイントがたくさんあります。
この薬剤が一番いい、ということがないので、重症度や副作用のこと、医学的見解をお示ししながら、患者さまのライフスタイルの中での希望をお聞きして選択しています。

WEB講演でも、どのように選択しているのか?というご質問をいただきましたので、意見を述べさせていただきました。



今は、医師が一方的に治療を決めて伝える Informed conscent の時代ではなく、
患者さまに選択肢を全てお示しして一緒に選択していく Shared dicision making の時代です。


なかなか治らないアトピー性皮膚炎の症状にお悩みの患者さま、ぜひご相談ください。
一緒に治療を選択して進めていきましょう❗️


私の講演の後は、神谷先生のご講演を拝聴しました。
アトピー性皮膚炎と誤診されやすい疾患を、たくさんの症例写真をご提示くださり、大変ためになりました。
また、その病態やアジア人のアトピー性皮膚炎の特徴などについて詳しくご教授いただき勉強になりました。



講演後に、治療の中で抱えている疑問についていくつかご質問させていただきました。
先生の見解を教えていただき学ぶことがありましたので、今後の診察に活かしていきたいと思っています😊

とても有意義な1日となりました💕





自治医科大学のある栃木県のお土産をいただきました🍘
ほのかに香るバターオイルと塩味の効いたとても美味しいお煎餅でした😋
ありがとうございました。