アトピー性皮膚炎と乾癬の両方に効果のある、新しい外用薬が、今年の秋に登場します🍂
アトピー性皮膚炎の治療は、外用療法がやはり基本です✊
湿疹が悪化している時にはしっかりとしたランクのステロイド外用薬を使用し、
改善してきたら、プロアクティブ療法をしながら、
コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏、プロトピック軟膏へ切り替えていきます。
そこへ加わる新しい外用薬は、
AhR調節薬という種類の外用薬で、
「ブイタマークリーム」という名前です。
なぜ、ブイタマー❓❓❓
名前にインパクトがあってびっくり⚡️
初めて聞いた時には、アトピーと何の関連があるのかわかりませんでした😅
Victory Therapeutic AhR Modulating Agent
AhR調節薬で治療に勝つ!
という意味ですね🧐
それを略して VTAMA ブイタマー
なるほどです💡
ブイタマークリームの成分である「タピナロフ」は、
💎AhRを活性化することにより、種々の遺伝子発現を調節します💎
炎症性サイトカインを低下⬇︎させ、抗酸化分子の発現を誘導⬆︎して、
皮膚の炎症を抑制するとともに、皮膚バリア機能を改善します
☘️アトピー性皮膚炎
成人及び12歳以上の小児に、1日1回外用。
☘️尋常性乾癬
成人に、1日1回外用。
先日、ブイタマークリームについてWEB講演会があり拝聴しました✏️
実はこの外用薬、カネミ油症という病気を研究している九州大学で研究が進められた治療薬なのです💡
「カネミ油症」ってお聞きになったことありますか?
私は医学生の時に皮膚科を勉強して初めて知った病気です。
1968年 北九州で、塩素ざ瘡、眼脂の増加、手足のしびれなどの症状を呈する患者さんが集団発生しました。
カネミライスオイルという食用油に、製造過程で「ダイオキシン」が混入したことによる健康障害でした。
このダイオキシン、AhRという受容体に結合するのですが、
AhRの働きを調節し、油症患者さんの治療法が確立されました。
その中で、AhRの関与する免疫調節機構が解明され、皮膚疾患の治療に応用されることとなったのです🔍
ある疾患に対する研究が、他の疾患の治療にも寄与することとなるのは実に感慨深いものです。
医学研究の奥深さを感じます☺️
AhRは、食物や微生物、汚染物質、代謝産物といった様々な化合物によって活性化されます。
化学物質に対する防御、微生物に対する防御、エネルギー代謝、細胞の発生と分化など幅広い生理機能に関与しています。
さらに、免疫応答を制御する重要な役割も果たしています。
AhRに結合するものに、2つのタイプがあり、
①ダイオキシンや環境汚染物質などの有害物質、もあれば、
②人体に良い効果をもたらす化合物、もあります。
②の、アトピー性皮膚炎や乾癬の皮疹に対して、良い結果をもたらす物質の一つが、タピナロフ、なのです✨
AhRの作用する経路はいくつかありますが、
① AhRに細胞質内で結合するとARNTと二量体を形成し、核内へ移行し、炎症を抑制したり、皮膚バリア機能に関連する遺伝子の発現を促進します。
②また、抗酸化作用をもたらすAhR-NRF2経路を活性化して、炎症を抑制します。
ROS(活性酸素)産生やDNA損傷、炎症性サイトカインの産生が抑制されます。
1️⃣炎症性サイトカインを抑制
IL-4の産生抑制、IL-17Aの産生抑制が示されており、
それぞれが関与する、アトピー性皮膚炎や乾癬の皮疹を改善すると期待されます。
また、抗酸化酵素を発現してROS(活性酸素)の消去をします。
2️⃣バリア機能の改善
皮膚細胞のバリア機能に関与する、フィラグリン、インボルクリンなどの発現を誘導します。
TEWL(角質の水分量)を改善することも示されています。
3️⃣神経伸長を抑制しかゆみの軽減
神経反発因子 SEMA3Aの発現を誘導し、かゆみ神経の伸長を抑制します
つまり、アトピー性皮膚炎の病態は、
①炎症性サイトカインによるType2炎症
②バリア機能障害
③かゆみ過敏
による三位一体論で説明されますが、
このどれにも関与し改善しうる外用薬ということですね🤔
これまでの外用薬は、炎症やバリア機能を悪化させる炎症性サイトカインを阻害することで皮疹を改善させるものでしたが、
ブイタマークリーム(タピナロフ)は、
炎症性サイトカインを抑制するだけではなく、
バリア機能をアップさせることもできる、というのは面白いところです✨
🌼効果があって、
🌼副作用が少なく安全で、
🌼塗りやすい
そんな外用薬の新たな登場は期待が持てますね。
まだ薬価や発売日は未定なので、
発売開始となりましたらまたお知らせします☺️