名古屋市緑区の皮膚科、美容皮膚科

〒458-0852
愛知県名古屋市緑区元徳重2丁目105番

ブログ

豆乳アレルギーとシラカバ花粉症🌲アレルゲンコンポーネント検査

最近の健康ブームでスーパーでも豆乳製品がたくさん売られていますね

豆乳の消費量も20年前より右肩上がりに増えています

わたしも時々、スタバで「ソイラテ」を頼んだりします☕


しかし、豆乳を飲むとのどがイガイガしたり、お腹がゆるくなったり、じんましんが出たりする
豆乳アレルギー」の方も増加傾向にあるといわれています

時々、「豆乳を飲むといつも調子が悪くなるのですが、大豆を調べてもらっても陰性でした。どうしてでしょう?」と相談されることがあります

 

アレルギー検査項目に「豆乳」という項目はありません。

では豆乳の原料である「大豆」を調べればよいのでしょうか❓

実は、本当は豆乳アレルギーの方が血液検査で「大豆」(従来のイムノキャップ法)を調べても陰性になることが多くあるのです

 

アレルゲンコンポーネント

1つの食品には多数のタンパク質が含まれるのですが、IgE抗体と結合するタンパク質を
「アレルゲンコンポーネント」といいます。
IgE抗体とは、免疫グロブリンの一種で、アレルギーの原因物質が体内に入ってきたときに、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどのかゆみ物質を放出させます。
アレルギー検査ではアレルゲン特異的IgE抗体を測定します。


アレルゲンコンポーネント検査

成人に多い大豆アレルギーの原因の一つは、大豆の一成分である「Glym4」というアレルゲンコンポーネントであるといわれています。

しかし検査に使われる通常の大豆キットは、(アレルギーの原因となるものとならないものの両方が含まれるタンパク質)に対するIgEを調べるものであり、このGlym4はあまり多く含まれておらず、陽性にならないことが多くあるのです

その、Glym4だけ(Glym4特異的IgE抗体)を調べる血液検査は、実は保険適応でできる検査です

 

どんな大豆製品がダメなの?

豆乳アレルギーの原因となるGlym4は、加熱や発酵などの加工処理で失活しやすい特性があるため、納豆やしょうゆに比べ加工の程度が低い、豆乳やわらかい豆腐などで症状を起こしやすいと言われています。


2種類の大豆アレルギー

実は、大豆アレルギーには2種類あります。

乳幼児期に発症する大豆アレルギーは食事や経皮的に感作されて発症します。

このタイプは大豆製品全般に症状がでます。

一方、
成人に多い大豆アレルギーは、ハンノキやシラカバなどの花粉に気道を通して感作され、大豆と交差反応を起こすことで発症するといわれています。

このタイプでは、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こすことがあります。

通常アレルギーの血液検査で陽性とならない場合、プリックテストや食物経口負荷試験という検査をすると陽性になることがあります。
これらの検査では、体内に微量な原因アレルゲンを入れることになるため、検査によりアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性もあります。

アレルゲンコンポーネント検査では、体内にアレルゲンを投与する必要なく検査できるためより安全に精査ができるのです

陽性となった場合、経口負荷試験によってさらに詳しく検査をしていきます

 

大豆アレルギーとシラカバ花粉症

大豆アレルギーの原因アレルゲンである「Glym4」は、
シラカバやハンノキ花粉症の主要なアレルゲンである「PR-10の仲間です。

つまり、シラカバ花粉症の一部の方も大豆アレルギーとなることがあるのです。

このように花粉症が関与する食物アレルギーを、
PFAS(花粉・食物アレルギー症候群)といい、以前もブログに書きましたね

 

また、この「PR-10」は、大豆以外にも、
バラ科の果物「りんご、桃、さくらんぼ、なし、ビワ」などにも含まれています

そのため、シラカバ花粉症の方は、これらの果物を食べた時、口や喉が痒くなったり、ひどい場合は、呼吸困難を起こしたりします

逆にいうと、りんごなどの果物を食べて喉が痒くなる方は、豆乳アレルギーも合併していることがあります

 

その他にも、

スギ花粉症と、トマト🍅

オオアワガエリ、カモガヤ花粉症とメロン、スイカ、キウイ🍈🍉🥝

よもぎ花粉症とセロリ、ニンジン、スパイス、ごぼう🥕

ブタクサ花粉症とメロン、スイカ🍈🍉

などが交差反応すると言われています。

 

最近、豆乳の検査希望で来院された患者さまに、花粉症があるかお聞きしたところ、「花粉症は1年中あります。」とのことでした。

Glym4、大豆、シラカバ、ハンノキ、りんご、桃などを検査したところ、
大豆は陰性でしたがその他が陽性となりました

 

食物アレルギーを疑う場合、疑わしいものだけを検査するだけではなく、その交差反応を起こす可能性のあるものまでしっかり検査をし、自分が気づかないアレルゲンまで調べることが必要ですね

あすか皮フ科クリニックでは、皮膚科専門医として確かな知識に基づき、診断・治療を行なっております。

保険診療全般にわたり、地域の皆さまの皮膚やアレルギーにおけるお悩みに寄り添っております。

どんなお悩みでもどうぞご相談くださいね