名古屋市緑区の皮膚科、美容皮膚科

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区民健康講座🎤その① アトピー性皮膚炎⭐️

昨日は、緑区休日急病診療所にて、「みどり区民健康講座」の講演を担当させていただきました🎤

 



前半は、
🍀近年著しく変化している「アトピー性皮膚炎の治療」について
後半は、
🍀「しみ治療」のあれこれについて





1時間という長丁場となりましたが、皆さま熱心にお聞きくださりました✨
最後、会場内ではアトピー性皮膚炎治療についてご質問いただき、
講演後にも会場外で、しみ治療について数名の方からご質問いただき、講演の内容に興味を持っていただいたことを嬉しく思いました☺️




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昨日の講演の内容を少しご紹介したいと思います。
前半のアトピー性皮膚炎治療について
(しみ治療は次のブログで)





アトピー性皮膚炎は、わたし達が診療の拠り所とするガイドラインにて、
「増悪と軽快を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患」
と定義されています。


よく、診察にて、「先生、この子はアトピーですか?血液検査してください!」
と言われることがあるのですが、血液検査で診断するものではありません。
半年以上、典型的な場所に湿疹病変を繰り返す場合に、アトピー性皮膚炎の診断に至るのです。


さて、そのアトピー性皮膚炎の病態は解明されてきています。


アトピー性皮膚炎の患者さまの一部、20%くらいに、フィラグリン遺伝子変異があり、バリア機能障害により乾燥肌が進みます。

バリア機能障害があると、皮膚表面の細菌やホコリや汗など異物が皮膚内に侵入しやすく、免疫細胞が異物に対して反応し、TARCという信号(ケモカイン)を分泌し、Type2炎症が進んでいきます。


また、Th2細胞が産生するIL-4、IL-13という信号(サイトカイン)が、後天的に表皮角化細胞のフィラグリン発現を低下させ、後天的に更にバリア機能障害を起こし、乾燥肌が進みます。

また、Th2細胞が産生するIL-4、IL-13、IL-31 などは、かゆみの神経に影響し、かゆみを引き起こします。
アレロック・タリオン・アレグラなどを内服しても抑えられないかゆみはこの、IL-4、IL-13、IL-31などが関与していると考えられています💡

その他、アトピー性皮膚炎の病態において、どんな細胞が?どんな信号(サイトカイン・ケモカイン)を出していて、それがどのように影響しているのか?
いろいろ解明されてきています💡💡💡

何かよくわからないけどずっとかゆい病気、ではないのです。





その、アトピー性皮膚炎の治療の目標は、以下のように示されています。



日常生活に支障がない状態とはどのようなことでしょう?
「夜、ぐっすり寝ること」
「勉強に集中すること」
「仕事に集中すること」
「人目を気にせず温泉に入ること」
「肌を少しでも出す服装を楽しむこと」

当たり前のことを、当たり前にできずにいる人がいます。
それを当たり前にできる状態まで持っていく治療が大切です🏥

日常生活に支障のない状態を、寛解といいます。
そこへ到達することを、寛解導入といいます。

寛解導入のための、治療は、軽症と、中等症以上では異なります。


軽症の方の治療はやはり外用療法が基本です。
しかし、外用剤は、その塗り方、使い方が重要で、塗れば効く!というものではありません‼️


アトピー性皮膚炎の治療で大事なのは、その外用剤の強さ・量・方法・期間です。
講演では、それらのコツについて、当院ではどのように診察をしているのか、簡単にご説明しました☺️




ステロイドは正しい使い方をすれば、副作用を回避できて効果の高い外用剤です。
しかし、ステロイドをどうしても塗りたくない、という方もいらっしゃいます。

そこへ、2020年にコレクチム軟膏、2021年にモイゼルト軟膏など、ステロイドではない、新しい外用が登場してきました。
私たち皮膚科医が、どのようなことに注意しながら、日々、これらの外用剤を処方しているのかご説明しました。

皮疹が重症な時は、やはりステロイドで押さえ込み、皮疹の改善とともに、ランクをダウンし、
コレクチム軟膏、プロトピック、モイゼルトなどでプロアクティブをしていくのが、外用療法の基本です。


また、外用剤は塗る量が足りないとその効果を発揮できません。
1FTU(ワン・フィンガー・チップ・ユニット)とは何か?についての説明。




また、軽症アトピー性皮膚炎の方が寛解導入に至るには、プロアクティブ療法がとても重要です。
改善してきたら、外用剤の強さを徐々に落とし、ゆっくり塗る回数を減らしていきます。




通常はこれで落ち着いていくのですが、
外用療法をしっかり行っても、改善の乏しい中等症・重症の方には、
4年前にデュピクセント という注射剤が、
2年前よりJAK阻害剤内服という内服剤が登場してきており、
それにより、皮疹の改善、中には皮疹ゼロを目指せる時代となりました✨✨✨




これらについて、当院での経験をお話しながら、その有効性、注意するべきことについてなど、
ご紹介することができました。





会場からのご質問は、

① JAK阻害薬内服など導入する場合も外用は併用するのか?

②いまだに世の中に浸透している「ステロイド忌避」は、なぜ拭えないのか?

というご質問をいただきましたので、私の考えをお答えさせていただきました。


ステロイド塗ってもどうせ治らないから・・・
ステロイド外用しなくなった時のリバウンドが怖いから塗りたくない・・・
と時々お聞きします。
遠くのクリニックまで、自費の外用(?)を購入しにいく人をお見かけします。
強酸水を外用し、お肌が余計に乾燥して紅皮症になっている方をお見かけします。

医学は日々進歩しています。
新しい知識を正しく知り、適切な外用方法をまず試してみましょう。

アトピービジネスと言われるような非科学的な治療に頼らず、標準治療で、皮疹の改善を目指せます。
また、今まで、外用ではなんともならなかった重症アトピー性皮膚炎の患者様も、新規治療薬(デュピクセント やJAK阻害薬)にて皮疹の改善を目指せる時代なのです✨


ご家族・お知り合いにアトピー性皮膚炎で悩んでいらっしゃる人がいましたら、ぜひお近くの皮膚科を受診するように勧めてあげてください🏥
少しでも多くの人々が、かゆみや赤みから解放されるようになることを切に望みます🍀


次のブログでは、講演の後半「しみ治療」について、少しご紹介しますね☺️